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2017年1月 2日 (月)

 

戦後を振り返って第24話

 

   長銀問題の総括、  

   金融再生法実験の結果は如何に、金融再生委員会が成し遂げたものは?

 

 平成10年10月16日に施行された金融再生法に長銀をあてはめて、金融の再生、安定を目指すとして金融再生委員会は活動を始めた。それは国の統制下で長銀を処理する事であった。

 

1、 長銀の国有化

 先ず第一に平成10年10月23日に長銀はこの法によって国有化された

そして10月28日に預金保険機構により全株式24億9290万4千株が収用(没収)された。

これはこの統制法の眼目となる基本的な一撃であった。これによって長銀株は日本の株式市場とは隔絶された。

日本の株式市場は正常であった、ところが金融再生法なる特別法によって、

長銀株24億9290万4千株のみが株式市場とは無関係に、売り買いも出来なくなった。それは政府によって捻じ曲げられたのである。

日本国民、いな全世界の人々は日本の株式市場を信頼し、安心して株式市場に没入していた、それが10月23日に突然新聞の株式市況欄から長銀は外されてしまった。

 これは正常な日本の株式市場を信じて生きて30年を過ごした長銀の35000人の株主にとって晴天の霹靂であり考える事も出来ない事態であった。

10月28日の預金保険機構からの収用通知が送られた時にはあまりの事に声も出なかったのである。

ただこの収用通知の最後に「後に長銀株価が算定されたときに、対価の請求が出来る」との文章にわずかに望みを掛けた。(しかしこの言質も後に空文となってしまった)

 

 これが金融再生委員会のペテンの基本であった。

 

2、長銀株価の決定

 株価の算定については平成10年10月中に落合誠一氏を委員長とする5名の委員会を任命して形を整えて居た。

処が12月15日に再生委員会は長銀株価算定を株価算定委員会に諮問するその日になって金融再生法施行規則を定めて官報号外で公布した。

その追加文言は「特段の事情の無い限り長銀を清算するものとして算定する」であった。

 (会社の清算とは「法人が解散して財産の整理を為す手続きをいう、また会社の法律関係の結了及び財産の処分を為す行為」と法律学辞典に記載されている。

平成10年時点で長銀の清算の問題が出た時長銀の保有有価証券の処分は証券業界からはそれは不可能、金融界の壊滅になるとの悲鳴が出たいた。

長銀の保有有価証券、1銘柄、億単位から数千万、数百万株単位の200社を超える会社、金額にすれば2兆8746億円のものを処分出来るか否かは経済界に居る者なら常識であった)

 

 即ち長銀の清算は不可能であった。

処が再生委員会は不可能と云う理論にも実状にも一顧も払わなかった。規定を定めたとして押し通した。

なお長銀は清算出来ないという特段の事情があったがそれも顧慮されなかった。

 

この施行規則を定めたからには實行するのみと云う第2のペテンであった。

 

 株価算定委員会はこの諮問に不審を抱きながらも平成11年3月30日に

  長銀普通株の価額は 1株     0円

  長銀第2回優先株の価額は 1株  0円

と報告した。

 (然し株価算定委員会は長銀を清算するものとしてと云う前提を不審に思ったのであろう、報告書の末尾17ページに継続企業の前提で算出した純資産の額は1569億91百万円であるとつけ加えている。

 

 長銀株価はこのような金融再生委員会のゴリ押しの結果0算定がまかり通ってしまう事になる。

1569億91百万円の純資産と2兆8746億円の有価証券を保有し、年間1700億円の配当利益を得る長銀が株価0円と押し込まれているのである。

 即ち金融再生委員会の0算定以外は認めないという独断的な考えを示すものである。

 

3、金融再生委員会の恣意的な施策の実行

(1)平成11年9月28日に政府が1998年に長銀に注入した1300億円を

 優先株1億株としていたがこれを1000億円として新生銀行の1億株とし

 たと発表した。

 これは明らかに11年3月30日に株価算定委員会が1株0円と発表された

 ものが1株1000円になって居る。

 これは全くの無法の極み、国民を愚弄した行為と云わねばならない。

 無価値とされた24億9290万4千株の内、国の持つ1億株を金融再生委員会が株価算定委員会の決定を無視して1株1000円と値付けして新生銀行の株とした、ならば株主平等であるから残りの23憶9290万4千株も1株1000円と価値ずけられるべきなのである。しかしその後17年間その動きは無かった。

 

 (2)次に11年9月28日にそれまでの長銀国営下の保有有価証券の配当益

 2500億円を新生銀行の国名義の株式としたと発表した。

 これは全額を国が取得するべきものではない。国に権利があるのはそのうち

 の24億分の1億即ち24分の1である。

 ここで国は約2300億円分他人の権利分を国のものとする再生委員会の行

 為であった。

 

 (3)金融再生委員会はその他の長銀国営下の収益金をも併せ上記①②と合計

 して国が4億6916万株(16,9%)の新生銀行の筆頭株主となったとしたのである。

 

この平成11年9月28日の上記①②③の金融再生委員会の行動は常軌に逸した行為というべきで、常識にも株主平等の原則にももとり、他人の権利侵害など云うに耐えない事ばかりである。

金融再生法の理念に合致する処は見られないのである。

 

4、金融再生委員会のやり残しの問題

 最後に残るのは長銀株主の問題である。

長銀株主の内、日本国の1億株の優先株は上記2の①に述べたように新生銀行の1億株の株主と処を得て居る。

 残りの23憶9290万4千株の普通株の事である。

平成11年9月28日に長銀の全てを新生銀行ヘ金融再生委員会が譲渡した時

上記23憶9290万4千株も新生銀行へ引き渡された。

従ってこの長銀株の処遇については新生銀行に権原が移ったのであろう。

処が長銀の株価がはっきりしなくなっている、それはH11,3,30の4株価算定委員会の0円の他に、上記3の①の長銀株価1株1000円と云う金融再生委員会の値が出てきているからである。

 

長銀株価がはっきりしなければ新生銀行で23憶9290万4千株の処遇を考えることが出来ない。それで長銀株価を清算(理論的にも出来ないし現実にこの17年間それは着手もされなかった)と云う事は無しに算定されなければならないと政府にお願いしているのである。

 (なお長銀の株価再算定について私見を申し上げますと、長銀の株価算定には過去の長銀の不良債権の帰趨が関係してくると思います、これはその後17年間の長銀の投資資産の配当金、年間1700億円から相当に返済が進んでいると見られ残余は数年で完済出来るのではないか。

すると長銀株価の算定の基礎数字は、残存純資産1569億91百万円+投資有価証券2兆8746億円+年間配当金1700億円=3兆15億91百万円となり総株数で除して1株当たり1400円超になります。)

 

5、金融再生委員会が成し遂げた事

 それは金融再生委員会がなりふり構わず国の権益のみの向上を図った事だけが浮かび上がって居る。

それは正当な行為とは言えなかった、特に株主平等の原則から逸脱した事は問題を残した。

さらに株価再算定の問題を残した、したがって金融再生委員会は任務を完遂したとは言えない。

 

なお上記3に取り上げた、日本国が新生銀行の筆頭株主となった事の由来を

見て誰も納得出来ないであろう。特に長銀時代の1億株の優先株を新生銀行の1億株とした事、それも1株0円との株価算定委員会の決定を無視して1000円の価値ずけをしたことの説明は不可能であろう。

 この事に関しては今後残りの23憶9290万4千株の一般株主の権利の再確認、それは今となっては新生銀行内での長銀株の処遇がされる以外にこの国の巨大利益を容認する事は出来ないと思われる。

 

23憶9290万4千株の処遇確定される事によって、国の1億株の新生銀行の1億株とした事を許容されるのでは無いが、1般株主の権益回復がされれば、混同という意識、社会常識の許容感覚によってこの時の金融再生委員会の行為、1000円の株価も已むないとされるのではないかと思われる。

 

 このような面から考えても長銀株価の再算定の上、新生銀行における長銀株の転換が望まれると考える。

これによって新生銀行の資本が大きく増強されて、初めて金融再生、安定の実が挙がると見られる。

 

 政府に於かれては長銀株の帰趨が金融再生委員会の実行施策の残す問題に深く係わることを御理解いただき、新生銀行の行内問題ではありますが長銀株の

処遇、正当な形での新生銀行株式への合体に御指導,ご協力を下さいますよう

お願申し上げます。                      (終わり)

 (平成29年1月2日 久保田 英三)

 

 

 

 

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